空を飛んで会いにこい 第七話(2) 〜岡田side〜
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第七話 似た者同士の救世主(2)
もう何度もあいつらのライブは見ている。だが、何度立ち会っても開始直前ってのは緊張するもんなんだろうと、こういう大舞台を前にすると余計そう思う。
開始時間…もうすぐだな。
「よろしくっす! 岡田さん、打ち上げは焼き肉プラス外国人ダンサーでひとつ!」
「んなの知るか!」
「行ってきやぁ〜す、よっしゃ! 一発暴れんぜ〜!」
「おぅ、頼むぞ」
「うぉ〜っしゃ!」
「おいおいおい、スティック一本落ちたぞ、こらっ!」
そして。最後にやって来たベーシスト茶木。
「岡田さん?」
「んあぁ?」
すぐ本番だってのになんだよ?
こいつ、俺の前に立ち止まりやがった。
「まさか朝槻さんと同級生とは思いませんでした」
「どうせおまえから見たら俺の方が老けて見えてたんだろ?」
「はい、そうっすね」
「おまえ、そういうとこだけはストレートなんだな」
「あれ? 朝槻さんもうそんなこと…」
あ、やべっ。茶木一気に赤くなってるし。
俺、何タイミング悪くひっかけ問題みたいな皮肉を…!
「いやいやいやいや、その、そういうこととストレートに何の因果もないんだが〜」
「んじゃ俺、…行ってきます」
ペコリと頭を下げると茶木はステージへと向かって行った。
あいつ、あんなに律儀に俺に振る舞ったことなんて今まであったか?
新人バンドにしてはいい時間帯のライブシフト。観客のウケもまずまずで、今夜はまあまあ合格点といったところか。
元々ボーカル以外はアマチュア時代から上手いと評判だった強者ばかりだ。そこに元カリスマモデルで節操無しのハスキーボーカル:長礼アツシ(ながれあつし)が加入したことで、チャラケた色気がバンドにプラスの化学反応を起こして、一気にファンが増えた。
たまたま会社連中とあいつらのライブアクトを見て、俺の直属の上司がいたく気に入ってその場でスカウトに着手。アツシがファッション雑誌で男性読者からかなり人気あったこともラッキーだった。そんなわけでデビューと同時に一気にスターダムへと伸し上がった。
個人的には俺の趣味じゃないと散々愚痴っていた俺も、今回のライブを改めて見て、こいつらいつも世間を舐めきった態度じゃいるが、音に込めたモノってのは、そう世間から外れた訴えばかりじゃねえなと、そんなことをふと思った。
こいつらなりのプロであり続けるための自覚。
その辺りがようやくプレイとリンクしてきたのかもしれないな。
後はアツシの下半身がどうにもユルいのを改善させなきゃヤベエけどな。
そういえば朝槻のヤツ、どの辺りでライブ見てんだろうな。
まさかなぁ、あいつが同性もオッケーだったとはなぁ。
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